非破壊検査の電磁波レーダー法とは?使用される状況や調査の注意点を紹介

皆さんこんにちは。

埼玉県を中心に栃木県・東京都・千葉県で、コンクリートの補修・補強工事を、茨城県を中心に構造物調査や土質・地盤調査を手がけるエムズアクトです。


構造物調査を行う際、構造物を破壊したくない場合は「非破壊試験」を行います。非破壊試験にはいろいろな種類がありますが、中でも最近用いられる機会が増えているのが「電磁波レーダー法」です。電磁波レーダー法はどのような場面で用いられ、どのようなことに注意して実施するべきなのでしょうか。ここでは、電磁波レーダー法の特徴や注意点をご紹介します。




■電磁波レーダー法とは?


電磁波レーダー法とは、専用の機器を用いてコンクリートの表面に電磁波を放射し、その反射を利用して構造物の内部を調べる非破壊試験方法です。放射された電磁波はコンクリート内を直進しますが、鉄筋・空洞・塩ビ管といった、コンクリートと電気的性質の異なるものに当たると境界面で反射します。


反射した電磁波はコンクリート表面に出て、受信アンテナによってキャッチされます。この送受信にかかった時間や結果の波形から、反射物体までの距離や物体の性質を調べるという仕組みです。放射する電磁波はマイクロ波帯なので、エックス線検査のような危険性はなく、地中に放射するため電波法などに抵触することもありません。


なお、性質の近い検査方法としては「電磁誘導法」があります。電磁誘導法は、コイルに電流を流すことで発生した磁場内に試験対象物を配置し、磁場の誘導による電圧の変化を利用して構造物を検査するという仕組みです。電磁波レーダー法と比較すると、空洞や塩ビ管を探知できない代わりに鉄筋径を推定でき、より浅い深度の測定もできるといった違いがあります。




■電磁波レーダー法はどのような場合に使う?


上で少し触れたように、電磁波レーダー法は何でも調べられるわけではなく、状況に応じて他の検査方法と使い分ける必要があります。非破壊試験については以前にも解説していますが(https://www.msact.info/blog/column/137637)、コンクリート構造物の非破壊試験で調べる情報としては、主に以下の5種類があります。


・配筋・かぶり厚さ(※)

・強度

・施工不良や劣化損傷

・ひび割れ

・鉄筋腐食


※鉄筋コンクリート造の構造物における、鉄筋からコンクリート表面までの最短距離のこと


これらのうち電磁波レーダーで検査するのは、「配筋・かぶり厚さ」です。国土交通省では、高速道路や鉄道などの大きな橋梁の下部構造は、電磁波レーダー法による検査を標準としています。その他、通信線や水路などのインフラ事業で用いられる箱型コンクリートの「ボックスカルバート」にも、電磁波レーダー法が用いられます。




■電磁波レーダー法の注意点!資格保有者が測定を行います



電磁波レーダー法は、構造物の状態によっては測定が困難になる場合があります。特に以下の3つに該当する場合は、事前に対処法を検討しておかなければなりません。


・鉄筋間隔がかぶり厚さに近いか小さい場合。

・脱型直後、雨天直後など、コンクリート内に水が多く含まれている場合。

・鉄筋径が太い場合。


また、電磁波レーダー法を正確に実施するためには、検査技術や結果の評価方法について十分な知識を持っている必要があります。そのため施工者は、測定者の有する技術・資格などを証明する資料を添付し、事前に監督職員の承諾を得なければなりません。誰でも行っていい調査ではないのです。


特に最近は調査の基準が厳しくなってきており、今まで別の方法で調査していたような状況でも、電磁波レーダー法での実施に変更されるケースが増えています。しかも、そのほとんどの調査で資格保有者が行うこととなっています。電磁波レーダー法による構造物調査を実施するなら、有資格者の在籍する経験豊富な業者に依頼しましょう。



エムズアクトは、さまざまな土質・地盤・構造物調査に対応している会社です。2021年7月に株式会社土木管理総合試験所とフランチャイズ契約を結び、「土木管理総合試験所FC茨城店」として業務を行っています。


弊社の調査技術員は、土木管理総合試験所へ一定期間出向。技術やノウハウを徹底的に学び、高い能力と技術を身に付けているため安心してご依頼いただけます。もちろん、電磁波レーダー法に必要な資格の保有者も在籍しています。電磁波レーダー法による構造物調査を実施したい時は、ぜひエムズアクトにご相談ください。